僕も仲間だろ?

松浦のあれこれ、書いてます。

観劇の感想

伝える、とか、見せる、意識から遠いものが好きだ。

先月くらいに観た、安田せひろ氏の一人芝居「とおいの知覚」には、割とそういった片鱗を感じた。

博物館にでも入って、展示物の紹介のナレーションでも聴いてるかのような気持ちになる。俳優とか、演出の立場からするなら「おいおいよっ!」とツッコミを入れたくなるような、そんな構造を持っている。終始、台詞なく、かつ動的でもない。しかしながら、ああ、これも、演劇なのだろう、と思った。

物語的(コンテキスト)というより、微分的(プンクトゥム)な、と言いたくなるような。"それ"との対話だ。

短編のオムニバス形式なので、一層その異質さが際立つ。見せ物小屋的な観賞作法からすれば、とても退屈な演劇かもしれない。しかし、同質的なクラスタ内での均一化されたような演劇が多くなりがちな中、この演目は、僕に取って、良い意味で印象に残るものだった。

去年に観た「真・ゲンコツ人間」も然りである。主観的なセオリーを保留して観なければいけない演目は、時に冷や汗ものかもしれないが、ある種、来た甲斐があった、と思えるタイプの一つだ。おれもがんばろう。